過去の出来事、技術、思想を未来の視点から再解釈するために書き残すブログメディア Hyperpast Journal(ハイパーパストジャーナル)。書き手は映像クリエイターのDAISUKE KOBAYASHIです。

「ヘルスラーニングジャーナル」とは?

ヘルスラーニングジャーナルとは、40代の僕が学んだ最新の健康・栄養に関する知識を整理し、記事化して発信していくシリーズです。

従来の栄養学から分子栄養学、そして精密栄養学へと進化している現在の流れを深掘りしながら進めています。

なぜ「ヘルスラーニングジャーナル」を書くのか?

健康に関する最新の研究は日々進化をしており、特に「精密栄養学」は個々の遺伝情報や腸内環境に基づいた新たな健康管理の鍵となっています。僕自身が最前線で学び、実践し記事にまとめることで、ウイルス対策やブレインフォグ、倦怠感など、従来の医療では解決しにくい症状の改善、要は「名もなき病」の対策・改善につなげたいと考えているのです。

みなさんもぜひ学び、実践し、より健康的で生産性のある未来を僕と一緒に目指しましょう!

はじめに

ビタミンEは「若返りのビタミン」として世界的に知られていますが、その名にふさわしく、体内の細胞を酸化から守る強力な抗酸化作用を持ち、心血管の健康、肌の若々しさ、神経機能の維持、生殖力の向上にまで広く関与しています。

ビタミンEの発見の背景と、歴史的経緯

1922年、カリフォルニア大学バークレー校のハーバート・M・エバンス博士とキャサリン・S・ビショップ博士によって、ラットを用いた栄養実験中に発見されました。

研究では、通常の合成飼料を与えたラットが妊娠できなくなるという現象が観察されましたが、小麦胚芽やレタスなど自然食品を追加することで妊娠能力が回復したため、そこに含まれる未知の成分が妊娠に関与していると特定されました。これが後にビタミンE(トコフェロール)と名付けられました。

「トコフェロール(Tocopherol)」の語源はギリシャ語の「トコス(出産)」と「フェロ(力をもたらす)」に由来し、その名の通り生殖機能を支える力のある成分として初期は理解されていたのです。

ビタミンEの構造と働き

ビタミンEには、炭素骨格が安定したトコフェロールと、より柔軟性があるトコトリエノールという2つの構造系統があります。

それぞれにα(アルファ)やβ(ベータ)といった同族体が存在し、体内では特にα-トコフェロールが優先的に利用されます。

安定性と持続力のあるトコフェロール、即効性と神経保護作用に優れるトコトリエノール、それぞれの特性を理解して使い分けることが鍵になります。

天然型と合成型の違い

天然由来のビタミンE(D-αトコフェロール)は、体内での吸収や活性が非常に高く、特に肝臓から全身に運ばれやすいのが特徴です。

これに対して、石油由来の合成型(DL-αトコフェロール)は構造が異なり、体内での効果が低下する傾向にあります。そのため、サプリメントを選ぶ際には「天然型」の表示があるかを確認するのがおすすめです。

活性酸素から細胞を守るメカニズム

私たちの体では、エネルギーを生み出す過程で活性酸素が生じます。この活性酸素が暴走すると、細胞膜やDNA、タンパク質を傷つけ、老化や様々な疾患の原因となります。

特に細胞膜に含まれる脂質は酸化されやすく、連鎖的に他の脂肪酸まで酸化させてしまうことがあります。

そこで登場するのがビタミンEです。

ビタミンEは、酸化された脂質の反応を素早く止め、細胞のダメージを食い止める「最初の盾」のような存在。さらに、ビタミンCやグルタチオンと連携しながら、自身も再利用されるという効率的な働き方をしています。

心臓と血管、そして脳の守り手

ビタミンEは、悪玉コレステロール(LDL)の酸化を防ぐことで、動脈硬化のリスクを下げ、血管の柔軟性を保つ助けをしてくれます。また、血液が固まりにくくなるよう働きかけるため、血栓の予防にも役立ちます。

さらに、脳内ではビタミンEが神経細胞の膜を守り、ミトコンドリアの働きを維持することで、認知症やパーキンソン病といった神経の老化にブレーキをかける可能性も示唆されています。特にトコトリエノールは神経の炎症を抑える効果もあり、脳の健康に注目されています。

肌の若々しさにも貢献

ビタミンEは肌の表面でも働きます。紫外線や大気汚染などで発生した活性酸素から肌細胞を守るだけでなく、肌のバリア機能を保ち、乾燥やシワ、たるみといったエイジングサインの予防にも一役買っています。さらに、炎症を抑える働きによって、肌荒れやニキビといったトラブルにも優しく作用します。

ビタミンE不足がもたらす影響

ビタミンEが不足すると、赤血球の膜が壊れやすくなることで貧血を起こしたり、末梢神経にダメージが加わって手足のしびれや筋力低下が起こることもあります。また、生殖機能や免疫機能にも支障が出ることがあり、体の多くの働きに影響を与える栄養素であることがわかります。

主な欠乏症状としては、

  • 溶血性貧血
  • 末梢神経障害
  • 筋力低下や感覚異常
  • 不妊や免疫力低下 が報告されています。

食事とサプリメントでの摂り方

ビタミンEは、アーモンドやひまわり油、ほうれん草、ブロッコリー、うなぎなど、さまざまな食品に含まれています。植物性と動物性の両方から摂取でき、日常の食事の中で比較的取り入れやすい栄養素です。

吸収を高めるコツとしては、脂溶性ビタミンである特性を活かして、食事の油と一緒に摂ることが挙げられます。たとえば、茹でたほうれん草にオリーブオイルをかけたり、アーモンドを間食に取り入れるだけでも効果的です。

サプリメントを利用する場合は、

  • 天然型(D-αトコフェロール)
  • トコトリエノールを含んだ製品 を選ぶのが理想的です。

ただし、脂溶性ビタミンのため体内に蓄積されやすく、長期的な過剰摂取には注意が必要です。出血傾向が現れることもあるため、上限量を超えない範囲で、目的に応じた摂取を心がけましょう。

まとめ

ビタミンEは、細胞膜の守り手として、また心臓や脳、肌、神経、免疫、生殖といった全身にわたって働く多機能な栄養素です。特に抗酸化力という一点においては、私たちが老いに抗い、健康な日々を送るための鍵を握っていると言えるでしょう。食事に少しの工夫を加えたり、質の良いサプリメントを取り入れたりすることで、日々の生活にビタミンEの力を活かしていきましょう。

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