阿波の黄走り。信号が黄色になった瞬間、加速するクルマたち。徳島県を訪れた人がまず驚くこの運転マナーは、長年県民の間では”あるある”として認識されてきた。

だが、この運転習慣の背後にあるものは、単なる不注意や性格だけなのだろうか? 本記事では、徳島の食文化、そして現代の糖質過多という視点から、この地域特有のドライビングスタイルを読み解いてみたい。

阿波の黄走りとは何か

「阿波の黄走り」とは、黄色信号を見た瞬間に減速ではなく加速する習慣のことを指す。JAFの調査でも、徳島県は信号のない横断歩道で一時停止しない車の割合が高い地域とされている。

県外の人から見ると危険に見えるこの行動も地元では日常。そこには、ある種の急ぎ文化が垣間見える。

また、徳島の道路では、ウインカーを出さずに曲がる車、前の車との距離を詰めすぎる車、そして強引な割り込みなども日常的に見られる。とにかく全体的にせかせかしており、「他人より自分が先に」という意識が強いと感じることも残念ながら多い。

僕は愛知県出身で、徳島に移住して10年になる。愛知県も運転マナーが悪いと言われている県ではあるが、正直その比ではない。故郷だからといったバイアスは一切なく、徳島県民の運転は本当に荒い。

僕は車を運転している時間が2時間ほどの日も多く、そんな日は急に横から割り込んできたり、車間を詰められることも少なくない。

以前、福井県から車で仕事に行った際には福井県の運転マナーの良さには驚かされた。こういってはなんだが多分僕も運転マナーは良い方なのでとても安心できたのだ。

徳島の食文化と急ぎ足

徳島の食文化は、”即効性”と”粉文化”の特徴が際立っている。半田そうめんは短時間で茹で上がり、ツルツルと喉越しで食べられる。そして特に注目すべきは、徳島ラーメン、うどん、お好み焼きなど、小麦粉を中心とした炭水化物文化の存在だ。

徳島ラーメンはこってりとした甘辛いスープと白ごはんのセットが定番となっており、うどんも香川から修行した人がお店を構えていることもあり、めちゃくちゃ美味いうどん屋さんが多い。この手の食べ物は食べやすさと中毒性から一度に多量を摂取しがちだ。

これらは栄養価は低いわりにいずれも糖質量が高く、味付けも濃いため、血糖値の乱高下を引き起こしやすい。加えて、こうした粉文化の中に含まれる加工食品や添加物の影響も、体内の代謝や精神的な落ち着きに影響を与えている可能性がある。

実際、徳島県は糖尿病患者の割合が全国でも上位に位置しており、この食文化が背景にあるのは明らかだ。粉を中心とした食事が日常的に続けば、血糖バランスを崩すこととなり、それが結果として運転中のイライラや注意力の欠如にもつながっているのではないだろうか?と僕は感じずにはいられない。

糖質過多がドライバーに与える影響

甘い味付け、米中心の食事、菓子文化。これらは日常的に高血糖と低血糖の波を生み、食後には眠気やイライラ、注意力の低下を引き起こす。糖質過多の状態で運転することは、実は無意識の焦りや判断力の鈍化を助長している可能性がある。

このような背景から考えられる栄養アプローチは、決して見過ごせない要素だと僕は考えている。ドライバーのマナーを変えるには、外側のルール整備だけでなく、内側――つまり身体のコンディション、日々の栄養の見直しこそがカギを握っているのではないだろうか。

「運転マナー」と「食文化」をつなぎ直すという視点

糖質を控え食事を見直す。ミトコンドリアにやさしい燃料、つまり良質な脂質やミネラル、ビタミンを意識した食生活へとシフトすること。それは単に健康になるという次元を超え、心の余裕や集中力の安定にもつながる。すると、不思議と心も穏やかになり、運転も丁寧になるかもしれない。

現在、僕が取り組み始めているのが、身体の内側から整えるための「パーソナルヘルスケアサービス」である。

https://mitoflow40.studio.site

中心に据えているのは、エネルギー代謝を糖質依存から脂質主体へと切り替える「ミト・フロウ・プロトコル」であり、これは一人ひとりに対して最適なアプローチを行う、新しい健康概念のかたちである。

また、遺伝子検査や栄養解析の進歩により、食事・運動・生活習慣を科学的に組み立てることが可能になってきた。たとえば、自分が糖質を効率よく代謝できるかどうか、脂質代謝が得意かどうか、あるいはビタミンDの吸収効率といった情報を知ることで、従来の一般的な健康法が、自分専用の戦略へと進化する時代に入っている。

僕は現在、精密栄養学という、日本ではまだほとんど知られていない分野を学びながら、自身の健康改善はもちろん、他者の健康を支える取り組みにも発展させていきたいと考えている。

こうしたパーソナルヘルスケアの視点は、日常の行動や運転スタイルにも確実に影響を及ぼすと考えている。たとえば、血糖値の安定を意識した食事を習慣化するだけでも、無駄な焦りが減り、急ブレーキの少ない穏やかな運転につながる可能性がある。

そして「運転マナー」と「食文化」――一見無関係に見える2つのテーマも、地域という文脈の中でつなぎ直せば、新たな物語が見えてくる。

受け入れる文化を耕すために、僕ができること

観光客誘致や地域ブランドの再構築に力を入れる地域が増える中で、もしかすると、この“日常のマナー”こそが、その土地の気質や文化を象徴するヒントになるのかもしれない。

しかし残念ながら、お世辞にも徳島県は観光地としての魅力が広く認知されているとは言いがたい。全国的な知名度という点でも、強い個性や突出した観光資源に乏しく、四国の中でもどこか影の薄い印象がつきまとう。(2024年の阿波おどりは素晴らしかった!2025年に期待したい!)

さらに、徳島が世界に誇るべき企業である日亜化学工業と、そのノーベル賞受賞者である中村修二氏への対応(ノーベル賞級の発明対価が2万円!!)に見られるように、外からの功績や変革に対して受け入れる文化が未熟なまま足踏みしている側面もある。

これは単なる過去の一例にとどまらず、外からの光をどう受け入れるかという地域の姿勢を映し出す象徴でもあるように思える。観光資源を磨く以前に、まず自らの文化や日常にある受け入れ方やまなざしを見つめ直すことこそが、本質的なブランド再構築の第一歩ではないだろうか。

言い換えれば、運転マナーはその第一歩なのではないかと感じているし、その土地のリズムでもあり、風土の延長線上にある行動様式とも言える。阿波の道を走るその手で、次の物語を紡いでいくべきなのではないだろうか。

こうした違和感――世界に誇るべき成果にすら、素直な敬意が向かいづらいこの土地の空気や、変化を遠ざける文化に触れるたびに、僕のなかにはある種の危機感が芽生えていたし、徳島に住んでいることの喜びは今はほぼない。

だからこそ、身体の内側から人を変える、小さくても確かな実践を通じて、もっと根っこの部分から人や地域の流れを変えていきたいと思うようになった。

それが、僕がパーソナルヘルスケアサービスを始める決意につながっていった理由でもある。

大きな改革はできなくても、個人の中にある「微細なエネルギーの流れ」を整えることで、その人の思考や選択、ひいてはまわりの空気までがじんわりと変わっていく。そんな内側からの変化こそが、いま必要とされているのではないか――そう感じている。