過去の出来事、技術、思想を未来の視点から再解釈するために書き残すブログメディア Hyperpast Journal(ハイパーパストジャーナル)。書き手は映像クリエイターのDAISUKE KOBAYASHIです。

春が訪れると、日差しとともに気持ちが緩み、ふとショーツを履きたくなる日がある。 だが実際のところ、気温はまだ不安定。風は冷たく、朝晩は長袖でも肌寒い。

そんななかで「バギーズショーツ(5インチ)」を春から履けるのか?──これが今回のテーマだ。

バギーズの立ち位置:海パン?街パン?万能パン?

パタゴニアの定番ショーツであるバギーズ。もともとは水陸両用としてスタートしているが、今では街着や軽いトレイルでも見かけるようになった。

インナー付きで、1枚でも履ける快適さ。ナイロン素材で速乾性抜群。生地は頑丈で、多少の岩肌や枝に擦れても破れにくい。ガシガシ洗えるし、乾くのも早い。

じゃあ春にどうなのか?というと、正直に言えば「寒い日もある」だ。 しかし、そこに使いどころの妙がある。

僕がバギーズを春に履くとき

僕は四国の山間部に住んでいるが、春の気温は日中こそ20度を超える日もあるものの、朝は10度以下ということもザラにある。 そんな気候でもバギーズを履くのは、たとえば以下のような場面だ

  • 晴れていて風がない日中
  • 徒歩での移動が多く、身体が温まりやすい日
  • 撮影や釣りで、下半身を濡らしてもいいとき

バギーズは濡れても気にならない。それどころか、水に濡れるアクティビティにおいては本領発揮する。川に足を突っ込む、波打ち際で撮影する、そんなときには最適だ。

さらに、春先の太陽の下で脚を出すことによって、ビタミンD3の生成を促すという健康的な一面もある。長い冬を越え、身体が陽の光を欲している時期にこそ、ショーツは心身ともに効果的な装備となる。

特に地磯釣りではその性能が活きる。潮をかぶってもすぐ乾き、濡れた岩場でも足さばきが良く、シンプルな構造ゆえ引っ掛かりも少ない。濡れても気にしないでいられるパンツというのは、意外と少ないのだ。

また、地磯では薄手のウェットスーツやレギンスを履いていることも多く、その上にバギーズを重ねることで保温と動きやすさのバランスが取れる。トレイルフェアラーショーツが下のレイヤーとして設計されているのに対し、バギーズは完全にアウターとして機能するショーツだ。ナイロン素材のバギーズは水の抵抗も少なく、乾きも早いので、濡れる前提のレイヤリングとも相性がいい。

レイヤリング前提の春スタイル

春のバギーズ使いで大事なのは、「単体で履くのではなく、レイヤリングで対応する」という発想だ。 たとえば:

  • インナーにメリノ系タイツを合わせる
  • 薄手のウィンドパンツの上から履く
  • 足元はロングソックス+シューズで温度調整

これで体感温度を大きくカバーできる。 バギーズは単なるショーツというより、“機能的なレイヤーの一部”として考えると、春からも十分に戦力になる。

バギーズは履き始めを早められるショーツ

バギーズは、真夏だけのパンツではない。工夫と準備しだいで、春から履き始めることができる稀有なショーツだ。

特に5インチ丈は、肌の露出はあるが動きやすさと通気性のバランスが良く、身体をよく動かす日には最適だ。濡れにも強く、速乾性も高いため、気温が低くても太陽が出ていれば寒さは感じにくい。

春バギーズは使えるシチュエーションを選ぶ力

つまり、春にバギーズが履けるかどうかはパンツそのものの問題ではなく、どう使うかの判断力にかかっている。

着るものをレイヤーで考え、自分の行動や天候と照らし合わせて選ぶ──その判断の先に、春のバギーズはある。言い換えれば、バギーズを春に履ける人は、環境への観察眼と、自身の快適性を見極めるスキルがあるということだ。

防寒性をレイヤーで補いながら、速乾性・機動性・水への耐性といった“ショーツとしての能力”を活かせるか。その見極めは、日々の経験と感覚に基づいている。

使えるショーツは、実は春こそ試されている。選ばれる側でなく、選び取る者にとってバギーズは最高の選択肢になる。