過去の出来事、技術、思想を未来の視点から再解釈するために書き残すブログメディア Hyperpast Journal(ハイパーパストジャーナル)。書き手は映像クリエイターのDAISUKE KOBAYASHIです。

春の風が心地よく吹き始める頃、僕は「履いていることを忘れるパンツ」を選ぶ。それがパタゴニアのテルボンヌ・ジョガーズ。

パタゴニアのラインナップの中でも、群を抜いて人気のパンツとして知られている。軽さ・汎用性・コスパのバランスが非常に高く、多くの人が愛用しているのも納得の一本だ。

とにかく軽くて、風を通して、でも寒くない。動いている時間の多い僕にとって、このパンツは装いではなく道具だ。

130gの存在感のなさ

驚くのはその軽さ。Mサイズでわずか130g前後。手に取った瞬間に「これ、本当にパンツなのか?」と思ってしまうほど軽い。バッグの中に放り込んでも存在感はなく、実際に履いてみても“空気をまとう”ような感覚になる。

履いた瞬間に感じる何も履いていないような感覚は、屋外での動きをノイズレスにしてくれる。撮影中も釣行中も、足さばきに一切の引っかかりがない。

何度も洗って、何度もフィールドに持ち出しているけれど、まったく衰えない。まさに軽さが性能そのものだと実感する一着だ。

通気性・速乾性・モバイル性の高さ

暖かくなる季節、汗ばむ行動中でも、このパンツはべたつかず、風が抜ける。さらに、速乾性も非常に高く、汗をかいてもすぐに乾いてくれる。

急な天候の変化や、水辺でのアクティビティでも安心感があり、乾きの速さは春夏シーズンの信頼性に直結する。

加えて、モバイル性の高さも特筆すべき点だ。くるっと丸めてコンパクトに収納でき、バックパックの隙間にするっと収まる。その軽さとサイズ感は、まるで風のようにどこへでも持っていける自由さを感じさせてくれる。

シャカシャカしすぎない軽やかな素材感で、足にまとわりつく感じがまったくない。通気性とドライ感の両立は、春から夏にかけての機動力を大きく上げてくれる。

レイヤリングの一部として

春の朝はまだ肌寒く、ショーツ1枚では心もとない。そんなとき、僕はトレイルフェアラー・ショーツの上にこのジョガーズを重ねて履くことが多い。これはただの重ね着ではなく、温度変化に柔軟に対応するための“動けるレイヤリング”だ。

朝の冷気をジョガーズで遮り、日が昇って暑くなればすぐに脱いでショーツ1枚になる。移動中でもすばやく脱ぎ履きができるから、フィールドでも街中でも、気温に合わせた調整がしやすい。

さらにジョガーズはコンパクトに丸めてバッグにしまえるので、脱いだ後も荷物にならず、行動のリズムを乱さない。朝から晩まで状況に応じて“変身”できるこの組み合わせは、僕の春の定番スタイルになっている。

街でも自然でも浮かないシルエット

アウトドア系のジョガーパンツにありがちないかにも感がないのも、このパンツの魅力。

ナイロン特有の光沢感やテカリがほとんどなく、シンプルで落ち着いた表情。細身ではあるけれど過度にピタつかず、足のラインを自然に整えてくれる。裾のリブは主張しすぎず、足元のシューズやサンダルとのバランスもとりやすい。

全体としてとてもミニマルで、アウトドアにしか使えないという印象を与えない。街でもそのまま通用する見た目と軽やかな動きやすさの両立は、長時間の移動や、撮影現場、買い出しからカフェまで──一日を通して行き来するような日常にちょうどいい。気がつけばつい手が伸びてしまう、そんな一本。

風と一緒に動く一本

パタゴニアのテルボンヌ・ジョガーズは、春の風と相性がいい。

その軽やかさは、風をまとうような感覚に近く、まったく足元にストレスを感じさせない。しかも風通しがよく、汗をかいた後もすぐに乾いてくれるので、春から初夏の不安定な気候でも頼れる存在だ。

着脱のしやすさと携帯性も相まって、気温差がある1日のなかで常に”最適解”を提供してくれるパンツ。考えるよりも先に身体が選んでしまう──気がつけば、春の日常のほとんどがこの一本とともにある。