過去の出来事、技術、思想を未来の視点から再解釈するために書き残すブログメディア Hyperpast Journal(ハイパーパストジャーナル)。書き手は映像クリエイターのDAISUKE KOBAYASHIです。
はじめに
#16では水銀について書いていきたいと思います!
水銀は私たちの健康に深刻な影響を及ぼす有害金属の一つです。自然環境や産業活動を通じて広がり、食品や日用品を介して人体に取り込まれることがあります。特に神経系や免疫機能、エネルギー代謝に悪影響を与えることが知られています。
本記事では、水銀の種類と影響、健康リスク、そして水銀を体外へ排出するための方法について詳しく解説していきます!
「ヘルスラーニングジャーナル」とは?
ちなみに、タイトルにあるヘルスラーニングジャーナルとは、40代の僕が学んだ最新の健康・栄養に関する知識を整理し、記事化して発信していくシリーズです。

従来の栄養学から分子栄養学、そして精密栄養学へと進化している現在の流れを深掘りしながら進めています。
なぜ「ヘルスラーニングジャーナル」を書くのか?
健康に関する最新の研究は日々進化をしており、特に「精密栄養学」は個々の遺伝情報や腸内環境に基づいた新たな健康管理の鍵となっています。僕自身が最前線で学び、実践し記事にまとめることで、ウイルス対策やブレインフォグ、倦怠感など、従来の医療では解決しにくい症状の改善、要は「名もなき病」の対策・改善につなげたいと考えているのです。
みなさんもぜひ学び、実践し、より健康的で生産性のある未来を僕と一緒に目指しましょう!
帽子職人病と水銀中毒の歴史
19世紀のヨーロッパでは、水銀を用いた帽子製造が盛んに行われていました。特に動物の毛皮を加工する工程では、フェルトの品質を向上させる目的で水銀化合物が使用されていました。しかし、これにより職人たちは長期間にわたって水銀蒸気を吸い込み、中毒症状を発症することが多くなりました。
帽子職人病にかかった人々は、手の震え(振戦)、言語障害、精神錯乱、鬱症状などを引き起こしました。この症状は「不思議の国のアリス」に登場するマッドハッターのモデルになったとされ、文学作品の中にもその影響が残されています。現代では同様の中毒症状が産業従事者や歯科医師に見られることがあり、水銀の危険性が依然として高いことを示しています。
水銀の種類と健康への影響
水銀は、形態によって毒性や体内動態が異なります。主に、有機水銀、無機水銀、金属水銀の3種類に分類され、それぞれ異なる経路で人体に影響を与えます。
有機水銀は、環境中の無機水銀が微生物によってメチル化(化学反応の一種)されることで生成されます。特に魚介類を通じて摂取されるメチル水銀は、神経細胞に強い毒性を持ち、胎児や幼児の発達に悪影響を及ぼします。
メチル水銀は血液脳関門を容易に通過し、中枢神経系に蓄積されやすいため、長期間の摂取によって記憶障害、運動機能の低下、感覚異常などを引き起こす可能性があります。
無機水銀は、化学工業や鉱山活動で使用されることが多く、皮膚や消化器官を通じて吸収されます。無機水銀は腎臓に蓄積しやすく、腎機能障害や免疫異常を引き起こすことが報告されています。また、体内でメチル化されることで有機水銀へと変化する場合があり、さらなる毒性リスクが懸念されます。
金属水銀は、主に温度計や蛍光灯、歯科用アマルガムに使用されています。金属水銀そのものは比較的安定していますが、揮発性が高いため、吸入によって肺から直接吸収されると神経系に深刻な影響を及ぼします。
水銀蒸気は肺胞で速やかに血液に溶け込み、脳に到達しやすいため、職業的暴露による中毒症状が問題視されています。
水銀を摂取してしまう主な経路
- 魚介類(特にマグロ、カジキ、サメ、メカジキなどの大型魚)
- 歯科用アマルガム(古い詰め物に含まれる水銀)
- ワクチンや医薬品(かつて保存料として使われていたチメロサールなど)
- 水銀を使用した化粧品(一部の美白クリームやスキンケア製品)
- 温度計や蛍光灯(破損時に蒸気を吸入するリスク)
- 鉱山や工業排出による汚染水や大気(環境汚染により間接的に摂取)
水銀が体内に及ぼす影響
水銀は体内の多くの組織に蓄積し、特に神経系、免疫系、ミトコンドリア機能に対して重大な影響を与えます。
神経系への影響
水銀は神経細胞のシナプス伝達を阻害し、神経細胞の炎症や変性を引き起こします。これにより、記憶力の低下、集中力の減退、認知機能の低下が生じるだけでなく、鬱や不安障害などの精神疾患を誘発する可能性もあります。また、水銀は神経伝達物質のバランスを崩し、ドーパミンやセロトニンの生成を阻害することで、情緒不安定や衝動性の増加にもつながると考えられています。
慢性的な水銀暴露は、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患のリスクを高める可能性があります。水銀は神経細胞の酸化ストレスを増大させ、神経細胞のアポトーシス(細胞死)を誘発することで、脳の機能低下を促進します。特にメチル水銀は血液脳関門を容易に通過し、中枢神経系に深刻なダメージを与えるため、長期的な影響が懸念されます。
さらに、水銀は胎盤を通過するため、妊娠中の女性が水銀に暴露されると胎児の脳の発達に悪影響を及ぼします。胎児期の神経発達は非常に敏感であり、水銀はニューロンの成長やシナプス形成を妨げることで、将来的な学習障害や発達遅延のリスクを高めます。
免疫系への影響
水銀は免疫系にも深刻な影響を及ぼし、免疫細胞の働きを抑制することで感染症や自己免疫疾患のリスクを高めます。特に、白血球の一種であるリンパ球や好中球の機能が阻害されるため、ウイルスや細菌への防御力が低下し、慢性的な感染症にかかりやすくなります。
また、体内の炎症反応を促進し、慢性的な炎症を引き起こします。これは自己免疫疾患の発症につながる可能性があり、リウマチ性関節炎や多発性硬化症などの病気と関連していることが示唆されています。水銀は免疫系のバランスを崩し、過剰な免疫応答を引き起こすことで、自己免疫反応を悪化させる原因となる可能性があります。
さらに、水銀は腸内フローラにも影響を与えます。腸は免疫機能の大部分を担う重要な器官であり、腸内細菌のバランスが崩れることで免疫力が低下することが知られています。水銀は有害な細菌の増殖を助長し、善玉菌の減少を招くことで、腸内環境を悪化させる可能性があります。これにより、リーキーガット症候群(腸の透過性異常)を引き起こし、未消化の食物や毒素が血流に入り込み、さらなる免疫系の過剰反応を誘発する可能性があります。
このように、水銀は単に免疫細胞を抑制するだけでなく、全身の免疫バランスを崩し、長期的な健康リスクをもたらすことが分かっています。そのため、水銀の暴露を減らすことは、感染症予防や自己免疫疾患のリスク低減にもつながる重要な対策となります。
ミトコンドリア機能の阻害
水銀は細胞のエネルギー産生を担うミトコンドリアの機能を直接妨害し、細胞の正常な代謝活動を大きく阻害します。特に、ミトコンドリアの主要な役割であるATP(アデノシン三リン酸)の生成に深刻な影響を与えます。
- 電子伝達系の阻害: 水銀はミトコンドリア内膜に存在する電子伝達系の複数の酵素群に結合し、その機能を低下させます。これによりATPの合成が妨げられ、慢性的なエネルギー不足が生じます。
- 酸化ストレスの増加: 水銀はミトコンドリア内部での活性酸素種(ROS)の生成を促進し、細胞内の酸化ストレスを増大させます。これによりDNA損傷や細胞膜の劣化が進行し、細胞の老化が加速されます。
- ミトコンドリア膜の損傷: 水銀はミトコンドリア膜に直接作用し、膜の透過性を変化させることで、ATP合成に必要なプロトン勾配の形成を妨害します。
- 解糖系への影響: ATP生成の補助経路である解糖系にも影響を与え、エネルギー代謝全体の低下を引き起こします。
これらの影響により、以下のような症状が引き起こされる可能性があります。
- 慢性的な疲労感と倦怠感: ATP不足によるエネルギー供給の低下。
- 筋力低下と持久力の低下: 筋肉細胞のエネルギー産生の阻害。
- 神経機能の低下: 神経細胞のエネルギー不足による認知機能や運動機能の低下。
- 代謝異常: 基礎代謝の低下により、体温調節や脂肪燃焼効率が悪化。
水銀の影響を軽減し、ミトコンドリアの機能を回復させるためには、以下の栄養素を積極的に摂取することが重要です。
- CoQ10(コエンザイムQ10): ミトコンドリア内での電子伝達を助け、ATP生成を促進する。
- N-アセチルシステイン(NAC): 抗酸化作用を持ち、活性酸素の蓄積を抑制する。
- アルファリポ酸: 水銀の排出を助け、ミトコンドリアの酸化ストレスを軽減する。
- マグネシウム: ATP合成に不可欠なミネラルであり、エネルギー代謝をサポートする。
- セレン: 水銀の毒性を軽減し、ミトコンドリアの機能を保護する。
ミトコンドリアの健康を維持することは、全身のエネルギー代謝と健康維持にとって極めて重要です。水銀の暴露を最小限に抑えながら、適切な栄養補給を行うことで、ミトコンドリアの機能を回復し、エネルギー産生の効率を高めることが可能です。
自身の体の水銀量をチェックする方法
水銀の蓄積は目に見えないため、自分の体にどれくらいの水銀が蓄積しているかを知ることが重要です。以下の方法で、水銀の体内負荷をチェックできます。
毛髪ミネラル検査
毛髪は体内のミネラルバランスを反映しており、長期的な水銀の蓄積を測定するのに適しています。特に、有機水銀の暴露を評価する際に有効です。
尿中水銀検査
無機水銀や金属水銀の排泄レベルを測定するために行われます。特に、デトックスを行った後の尿検査は、水銀の排出能力を評価するのに役立ちます。
血液検査
急性の水銀暴露を測定するのに適していますが、慢性的な蓄積を知るには不向きです。特に高濃度のメチル水銀摂取が疑われる場合に有効です。
便検査
水銀の排出経路として最も主要なものが便であるため、便中の水銀量を測定することで体内の負荷を評価することができます。
症状チェックリスト
以下のような症状がある場合、水銀の影響を受けている可能性があります。
- 慢性的な疲労感、倦怠感
- 記憶力・集中力の低下
- 頭痛やめまい
- 免疫力の低下(風邪を引きやすい、感染症にかかりやすい)
- 手足のしびれや震え
- うつ症状や不安感
- 消化不良や腸の不調
自分の状態を確認するために、医療機関での検査を受けることをおすすめします。
水銀の排出とデトックス方法
水銀を排出するためには、腸内環境を整え、自身で排泄を促進することも重要です。水銀の90%以上は便を通じて排出されるため、食物繊維を多く含む食品を摂取し、腸内細菌のバランスを整えることが効果的です。
水銀の排出を促す方法
- 食物繊維の摂取: 水銀は胆汁を介して腸内に排出されるため、腸内の水銀が再吸収されないようにするために、食物繊維が豊富な食品(野菜、海藻、玄米など)を摂取することが推奨されます。
- 腸内環境の改善: プロバイオティクス(乳酸菌、ビフィズス菌)や発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルト)を取り入れ、腸内細菌のバランスを整えることで、水銀の排出がスムーズになります。
- 水分摂取: 水銀は便だけでなく尿からも排出されるため、適切な水分補給(1.5〜2リットル/日)を心がけることが重要です。
- サウナや運動: 汗をかくことで水銀を含む毒素の排出が促されるため、適度な運動やサウナを取り入れることも効果的です。
水銀のデトックスを助ける栄養素
- 亜鉛: 水銀の排出を助け、免疫系や神経系の保護に寄与する。
- セレン: 強力な抗酸化作用があり、水銀と結合して体外への排出を促す。
- ビタミンC: 体内の酸化ストレスを軽減し、デトックス効果を高める。
- N-アセチルシステイン(NAC): グルタチオンの前駆体となり、体内の解毒能力を向上させる。
- アルファリポ酸: 重金属の排出をサポートし、細胞の抗酸化機能を強化する。
水銀の蓄積を防ぐための生活習慣
- 水銀を多く含む魚の摂取を控える(マグロ、カジキ、メカジキ、サメ、キンメダイなど)
- オーガニック食品を選ぶ(農薬や重金属の含有量が少ないため)
- 水銀を含む製品の使用を避ける(古い歯科用アマルガム、蛍光灯、水銀温度計など)
- 適度なデトックス習慣を持つ(ファスティング、運動、サウナなど)
水銀を含む魚介類の摂取を抑えつつ、抗酸化作用のある食品を積極的に取り入れることで、体内の水銀負荷を軽減することができます。特にクロレラやスピルリナは水銀を結合し、排出を促す可能性があるため、日常的に摂取することが推奨されます。
八重山クロレラは水銀に限らず、あらゆる意味でのデトックスに向いていると感じるので大変おすすめです。(僕も2019年から愛用しています!)
水銀を含む魚介類の摂取を抑えつつ、抗酸化作用のある食品を積極的に取り入れることで、体内の水銀負荷を軽減することができます。特にクロレラやスピルリナは水銀を結合し、排出を促す可能性があるため、日常的に摂取することをおすすめします。
まとめ
水銀は私たちの健康に深刻な影響を与える有害金属であり、神経系や免疫機能、エネルギー代謝に多大な悪影響を及ぼします。水銀のリスクを最小限に抑えるためには、適切な食生活とデトックス戦略を取り入れ、暴露を減らすことが不可欠です。正しい知識を持ち、日々の選択を意識することで、健康を守ることができます。
#17ではコレステロールについて書いていきたいと思います!
️ ️ヘルスラーニングジャーナル記事はこちらにまとめています。 ️ ️

Comments by daisuke kobayashi
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