iOSが26へとアップデートをした。

いつからかOSのアップデートには全く興味がなくなっていたのだが、僕は新しく購入したAppleWatchを使うためにiPhoneもiOS26へとアップデートをした。

そこではじめて気がついた。リキッドデザインが採用されていると。

リキッドデザインを初めて触れたとき、単なるUI更新以上の”流れ”を感じた。

色や形が溶けるように変化するあの動作は、まるで社会そのものが固体から液体へと変わっていく兆しのようでもある。

固定された世界から、揺らぎと流動性の世界へ。この変化の入口がスマホの画面に現れていることは、なんというか非常に興味が湧いた。

つまり、デザインというものを非常に広い視野で捉えている証拠と感じたのだ。

リキッドデザインはUIの話だけではない

iOS26のリキッドデザインの特徴は、なめらかさ、柔軟性、そして状況に応じて形を変える適応性にある。しかしこれは単なる美しさの追求ではなく、世界の認識そのものの変化を映し出しているように思う。

20世紀は”形”が支配した時代だった。四角いテレビ、重いPC、固定化された制度。しかし今、テクノロジーは固まった形を溶かし、人間の生活まで液体化させはじめている。

固体の社会から液体の社会へ

社会学的にも、現代は「リキッド・モダニティ」=液体化の時代と呼ばれる。境界が曖昧になり、役職や肩書は溶け、仕事や居場所が流動化する。

iOS26のUIは、この社会の大きな潮流を“先に視覚化したもの”のように感じる。固定的で、利用者が決められた動線の中だけで動けた旧来の設計思想から離れ、状況に応じて形が変わり、使う人の意図や環境に合わせて自然に流れていく。

これは、かつての社会が持っていた「決まった部屋」「決まった役割」「決まった動き」を前提とする“旅館的な世界観”とは対照的だ。

今の社会は、必要に応じて形を変え、場所も役割も流動的に選び直せるようになっている。iOS26のデザインは、まさにその変化を象徴するように、固まった線を引かず、状況によって揺らぎ、溶け、適応し続ける。デザインが未来の社会のあり方を映し出し、僕らが向かっている“流れる世界”をそっと予告しているように見える。

働き方やツールすらも液体化する

働き方の液体化は、もはや比喩ではなく現実として進んでいる。特に象徴的なのが、Affinityの無料化だ。かつて数万円クラスの“固体”のツールだったものが、突然“誰でも使える流体”に変わった。

僕も来年を境に脱アドビを試みようとしており、Affinityのソフトを購入しようと考えている最中だったから、ある種この買収による無料化のトピックは、iOS26のリキッド化と合わせて考えさせられるものがあった。

つまりこの出来事は、特定のスキルやハイエンド環境を前提とした時代が終わり、ツールそのものが社会の流れに合わせて溶けはじめたことを示している。

動画編集・写真・デザイン・文章制作は、一つひとつの職能として独立していたが、AIと無料高性能ツールの登場によって、境界は崩れ、作業はひとつの連続した“流れ”になりつつある。

当然、専門性が不要になるわけではないが、専門性の形が変わる。固定された役割から、状況に応じて柔軟に形を変える在り方へ。働くという行為そのものが、液体のように広がり、必要な形をその都度取っていく未来が見えはじめている。合わせて社会の逆回転により、ホワイトカラーの再編も見逃せない。

AIとリキッド化の関係

AIは世界を”固体→液体→気体”へと変質させる原動力になる。リキッドデザインは液体化の段階を示し、その先には自律システムと共働する”気体化”の未来がある。UIは透明化し、操作という概念すら消えていく。ツールの終焉ではなく、”ツールという概念の蒸発”といえる未来だ。

さて、では僕たちはそのような(嘘のような)世界でどのようにして生きていくことが良いのだろうか?

iOS26のリキッドデザインは、未来社会の小さな予告編だと捉えることができる。

画面が溶けるように変化するその動きは、僕らの世界が固体を離れ、揺らぎ続ける時代へと移行していくことを示している。

なににせよ、形に頼らず、流れに適応し、自分の核を保ちながら生きること。それがリキッド化する時代を軽やかに進むための生きる道だ。

そんなわけで僕はこれから脱アドビ、脱ツールを図り、リキッド化することによって押し寄せる津波に備えて、住まいや仕事などを流動的にし、僕自身は常に小さな浮き輪を装備し、必死に時代についていきたいと思う。